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生薬の玉手箱

生薬の玉手箱

 【鬱金(ウコン)】  平成17年06月15日号より

基源:ウコンCurcuma longa L. (ショウガ科Zingiberaceae) の根茎をそのまま又はコルク層を除き,通例湯通しして乾燥したもの

 ウコンの根茎はturmericとしてカレー粉の原料に広く使用される一方,医薬品として芳香性健胃,利胆,止血,通経薬などに用いられる生薬です。医薬品と食品との関係については,平成13年3月の「医薬品の範囲に関する基準」で医薬品的効能効果を標榜しないかぎりは食品として扱われる。」と改正され,医薬品と食品との間に明らかな境界線がひかれました。従来ウコンは,規格外生薬として規定されていましたが,昨年12月に第14改正日本薬局方第2追補に追加収載され,ウコンは日局収載生薬となりました。

 近年の健康志向からくる自然食ブームにより,植物中の生理活性物質の作用を期待した多くの商品が販売されるようになり,その中にウコンもあります。商品の種類が増加するに連れて,原植物が異なるCurcuma属植物がウコンとして流通するようになりました。一般に生薬ウコンの原植物はCurcuma longaとされていますが,Curcuma属は熱帯アジアに約40種が分布し,分類が困難な植物群であり,また国内の需要の大部分は輸入に頼っており,日・中間での生薬名と原植物の相違も手伝って,現在市場はかなり混乱しているようです。

 そこで,松尾ら(2002)は,栽培された6種のCurcuma属について含有化学成分量とその組成比の違いによる種の特定を試みるとともに,ウコンを主原料とする健康食品や医薬品製造用原料のウコンについての種の推定を試みました。

 実験に供された試料は,栽培品として国立医薬品食品衛生研究所種子島薬用植物栽培試験場(現在の医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター種子島研究部)で5月に採集されたC. longa,(インドネシア系,種子島系の2種),C. aromatica, C. xanthorrhiza, C. zedoaria, C. petiolataの6種類,健康食品として国内で販売される粉末,錠剤,お茶など16品目に加え,カンボジアから入手された2品目および医薬品製造原料として6品目の計24品目についてcurcuminoid類,turmerone類,curcumen類が検討されました。

 その結果,curcuminoid類の含量はC. longaが最も多く,それに比してC. aromatica, C. xanthorrhizaは極端に少なく,C. zedoaria , C. petiolata については全く認められませんでした。また,curcuminoid類のcurcumin, monodemethoxycurcumin, didemethoxycurcuminの組成は種により異なっていました。精油成分であるturmerone類,curcumen類については,C. longa, C. xanthorrhiz にのみ認められました。

 なおC. longaについて,インドネシア系と種子島系ではcurcuminoid類含量がインドネシア系で50mg/g, 種子島系で13mg/gとその差は大きく,3種のcurcuminoid類の組成比も異なっていました。更に精油成分についてもturmerone類とcurcumen類の比率の違いから,インドネシア系と種子島系の区別が可能であることが明らかになりました。

 以上の結果を元に健康食品に使用されるウコン16品目および医薬品製造原料用ウコン6品目の原植物を推定したとき,製品に表示される植物と一致しない製品が16品目中8品目ありました。カンボジア産については,curcumin類の含量が少なく,色彩は最も鮮やかなオレンジ色を呈していました。測定結果からcurcuminoid以外の成分が検出され,更に精査した結果,日本では食品添加物としての使用が禁止されているタール色素のオレンジ?が確認されました。ウコンの品質は,根茎色の赤味が強い"orange yellow"といわれるものが古来良品とされて取引されてきた経緯から商品価値を高めるために色素が添加されたと考えられます。また,医薬品製造原料6品目については,ほとんどがcurcuminoid類の含量が最も高かったインドネシア系C. longaであることが明らかになりました。

 現在curcuminを目的とした確認試験が規定され、ウコンの品質評価の指標としてはcurcuminのみが測定される傾向がありますが,精油成分に抗菌活性のあることも知られており,またインド医学では古来,内・外用薬として多方面で利用されてきていることから,ウコンはcurcumin以外の成分による評価も望まれます。

(神農子 記)